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 お弁当10個としゃぶしゃぶ20人前、そして祭り寿司4kg、おでん50個、チャンポン7kgこれを1 日ですべて平らげ、赤阪さんはデビュー戦を優勝で飾った。

8年前のことだ。
他を一切寄せ付けない驚異的な食いっぷりに“ばけもの”の称号がついた。
しかし、目の前に座っているその人は、身長160cm足らずのごくごく平均的な体型をした、どちらかと言えば控えめな印象の女性。あれほどの食欲とファイティングスピリットがどこから湧いてくる のか、想像もつかない。

「小学生の頃は好き嫌いが多くて、給食も食べられなかったんですよ」と言う。
 ところが中学校に入るやいなや、成長期を迎えた身体は、猛烈な食欲を見せ始めた。
「朝食べて、早弁をして、昼にパンを食べて、自宅に戻ってからごはんを食べて、それから夕方にパンを一斤食べて、その後に家族と一緒に夕食を食べて、それからみんなが寝静まった夜中にお米を 2〜3合こっそり炊いて食べてました」。

都合1日7食。家族からは「食べ過ぎだ」とひんしゅくを買ったが、いくら食べても食べても満腹にならない、しかも体型は159cmで53kgといたって標準。食欲だけが異常だった。
「曾おじいさんが1日に3升のごはんを食べる大食漢だったそうで、その血を受け継いたんだ、と言 われてました。でも、家族はみんな普通の食欲だったんですよ」。
菓子パン60個、あずき缶4.5kgを一気食い

 やがて学校を出て、社会に出るようになると、今度はストレスから食事ができなくなり、体重が20kgも落ちてしまった。
これはいけないとばかりに、食べる量を増やした。
すると、中学生の頃のあの食欲を、さらに超える食欲が湧いてきた。

「菓子パン60個、あずき缶4.5kg、牛乳4Lを一気食いしたことがありました。特に白いごはんが大好きだったので、当時一人暮らしをしていたのですが、月にお米を60kg買ってましたね。おかずはちょっとでいいんです。食費はほとんどお米代。5万円くらいでした」と20代の頃を回想する。

 そんな赤阪さんだから、当時テレビで放映されていた大食い番組を見て「こんな量で優勝できるのなら軽いもの」と、自分の食欲に自信を持った。そして『TVチャンピオン第4回大食い選手権(テレビ東京)』の予選に応募、余裕で優勝を勝ち取った。女王・赤阪の誕生だ。
大食いは、自分との闘いだ

 以来、数々の大食い選手権を制覇し、日本のみならず世界大会でも巨漢のオーストラリア人男性を圧倒的大差で破りMVPを獲得するなど、大食い道をばく進中である。
「世界大会では、大好きなオムレツだったのでうれしかったですね。2位のオーストラリア人の男性は53個ぐらいでギブアップしたんですが、私はそこでやめず、自分に挑戦したかったので90個近くまで食べました」。

大食いは自分との闘いである、と赤阪さんは言う。
食べるという、本来なら喜びであるはずの行為を、闘いの場に変える。のどまで出かかった食べ物を、ぐっと押し込んで、またひとさじ、口に運ぶ。
たとえ死ぬ思いで優勝を手にしたとしても、その賞金は50万円ほど。
「それは苦しいですよ。でも、自分との闘いに勝った時の喜びや達成感には、代え難いものがあるんです」。

鉄人レースで死闘を繰り広げるアスリートたちと、まったく同じ心境かもしれない。
「食べている時は、もう“無”の境地です。 学生時代に弓道をやっていたので、精神統一の仕方がわかっているんです」。
確かに赤阪さんならではの、顔色ひとつ変えず、たんたんと皿を重ねていく姿には、何かを超越した者の強さをうかがい知ることができる。

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