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前方後円墳
 あなたはたった一人で水田を作ることができますか?  原野を切り拓いてそこにある雑草の根を根絶し、稲の喜ぶ土壌を作るだけでも一苦労ですが、ここまでは一人でもナントカ根性で出来るかも知れません。が、もっと難しい問題があります。水田の「水」です。

 川から水を引くことを思いつきますが、田から川が遠ければ用水路を作らないといけません。しかも用水路の水は必要な時に必要な量がなくてはならず、また、不必要な時は田に水が流れ込むと困るのです。大雨の時には排水も必要でしょう。つまり用水路は、ある時には川の水を堰き止め、ある時には田の水を川に排水する設備でなくてはいけません。
 さらに、田の土地の高さがデコボコだと水が行き渡らないところが出来てしまいます。ムラなく水が行き渡るように田を工夫しないといけません。そう、水田の開拓は集団で計画的に行わねば不可能な、高度な土木工事だったのです。

 今から1600年も前の古代にこのような緻密な工事を行う集団の土木建築能力は、今から考えても相当なレベルであったと想像がつきます。それができる集団は土木工事の能力を誇示することで、富と権力と知識水準の高さを証明したのではないでしょうか。こうしてできた巨大土木建築物こそ、全長100m以上の小高い丘、前方後円墳だったと考えられるのです。後にそれは権威の象徴として巨大化し、ついに世界一の大きい大山古墳(伝・仁徳天皇陵)まで造ってしまうのです。

 今や、海辺に山に谷に丘、日照りの地にも極寒の地にも、日本全国津々浦々に水田があります。あらゆる悪条件を乗り越えて水田を作る技術は、2000年の歴史を超え、現在「農業土木」という工学に発展、世界的にも先進の技術として注目を集めるに至っています。
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