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第10回 東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻/東洋大学PPP研究センター
     2010年度PPP成果発表会について(2)

 東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻は社会人大学院であり、デベロッパーの開発プランナー、ゼネコンのPFI担当者、金融機関、シンクタンク、自治体等の公民連携に関わる/あるいは関心を持つ知見ある人材が集まっており、教員の指導によって、専攻のプロジェクトとしてPPPに関する支援活動を行っている。また、修了生が自治体の公民連携等担当部署に就任するなどPPPの推進役として活躍している。
 自治体に関する発表は、次の通りである。
 
  ①兵庫県加西市の市役所業務の包括業務委託と競争的対話
  ②神奈川県藤沢市の公民連携事業化提案制度
  ③福岡県北九州市のPPP可能性調査
  ④神奈川県三浦市のPPP可能性調査
  ⑤埼玉県宮代町の社会資本老朽化試算手法

 
 藤沢市の公民連携事業化提案制度は既に取り上げているが、制度のポイントは次の通りである。
  ・すべての事業が対象
  ・市が現在実施している事業が対象
  ・複数の事業を組み合わせることができる
  ・民間サービス(営利目的の事業)と組み合わせることができる
  ・団体だけでなく個人も提案できる
 さらに、アイデア募集と事業化の2段階方式を採用している点があげられている。
 
 北九州市のPPP可能性調査は2009年度に続くものであり、2010年度は下記を提案している。
  ・地理的優位性と港湾、空港の既存インフラを活用した物流拠点提案
  ・観光、コンベンション産業共同開発構想提案(北九州-下関等との連携)
  ・PPP手法を使った経済開発構想提案
  ・上記実行のためのPPP組織提案
 例えば、PPP手法による空港整備と空港運営については、上下分離方式による空港経営とし、民間が500mの延伸整備を行い、着陸料を民間収入とし、Sea&Airを活用した民間による北九州空港への物流網構築を提案している。

 神奈川県三浦市のPPP可能性調査は、活用困難な三浦市最大の懸案事項である二町(ふたまち)谷(や)問題の東洋大学への依頼にはじまる。PPPプロジェクトとしてはPPEA手法(*)を導入した高校跡地の活用策、コンセッションによるインフラ開発(小網代湾橋梁整備)、PPP推進のための組織づくりが提言されている。

 埼玉県宮代町は、公共施設/インフラの更新のあり方の研究が報告された。研究の特色は次の通りである。
  ・小規模自治体での公共施設の現状把握・将来予測
  ・インフラの更新投資を推計
  ・医療機器、焼却炉など設備の更新投資を把握
  ・社会分析を実施
  ・公共施設の統廃合案を提示

 以上の報告は、いずれも自治体の課題の解決にPPPを導入した事例を示すものであり、PPP可能性調査に基づき、その手法と組織づくりなどが提言され、計画されている。これら事例は、自治体の厳しい財政事情をふまえた様々な課題の解決、公共施設の老朽化に伴う更新の方途について、ベンチマークとして貴重な示唆を与えるものであり、今後は、さらに実現に向けたプロジェクトの進行を期待したい。

 加西市の公民連携で進める市役所業務の包括民間委託の概念は、本稿前々号に続き、次号で紹介する。

 (*:民間土地活用事業の収益を活かした公共施設更新の手法であり、日本では奈良県の学生寮である養徳学舎建て直しに際して、余剰地に定期借地権を設定し民間事業者がマンションを建設し、定借権料を学生寮建設費にあて県の財政負担を回避した事例がある)
 
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