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東日本大震災の民間資金を活用した復興事業

 東日本大震災では、地震と津波により多くの人命が失われ、なお、行方不明者の捜索が続いている。また、街そのものの壊滅が見られるように、住宅はもとより港湾や道路・橋梁、上下水道、電力施設等のライフラインとインフラ、庁舎等公共施設の著しい損壊や倒壊にいたっている。
 ライフラインの復旧、仮設住宅の建設といった被災住民の当面の生活に係る支援の後には、早急に本格的な復興に取り組まなければならない。復興費用は15兆円とも25兆円ともいわれ、巨額に上る。およそ900兆円という国の累積債務は国内で消化されているとはいえ、ソブリンリスクが指摘され、このような財政状況にあっては、復興資金の手当ては容易ではない。現実には、国債の発行か、増税か、という2つの選択が議論されている。
 現在の国債発行残高からすると、国債増発による財政悪化が懸念され、日銀引き受けも財政規律を乱す点から疑問視されている。一方、増税はリーマンショック後の回復が弱い経済基調にあって不安視されている。大震災による東北地方の部品メーカーの被害によってサプライチェーンに支障が生じ、製造業の稼働率が下がり、また、東京電力福島第1原発の事故の影響もあり、農業、水産業、そして流通・小売業は厳しい状況に追い込まれている。
 増税によって景気が低迷すると、復興自体が危ぶまれる。復興国債を発行し、所得税・法人税あるいは消費税を増税した復興税で償還していくとの財源案に対して、国債も増税も極力抑えなければならないのはいうまでもない。
 まさにこの国難にあたっては、財政再建の道筋を堅持し景気失速を回避し、復旧・復興資金を手当てしなければならない。そこで、唱えられているのが、民間資金の導入である。日本経済新聞社の国民意識調査によれば、今後の日本の復興のために必要な要素として2番目に多いのが「民間の活力を生かす」(16%)となっている(日本経済新聞2011年4月18日)。東証は復興支援策として被災地のインフラ復旧に民間資金を活用するため復興ファンドの組成・上場を奨励する。上智大学教授の藤井良広氏は、温暖化対策と両立させた環境債による民間資金の活用を論じている(日経2011年4月18日「経済教室」)。このほか、PFIなど民間資金の活用を有効とする主張は少なくない。
 東洋大学PPP研究センターは、2011年4月18日に「最短時間・最少費用」での復興~被害を最小限に食い止める地域を作るために~と題し、復興のための第1次提案を公表した。提案は下記の通りである。

 提案1.地域別の復旧復興投資額の計算、それに必要なソフトの開発
 提案2.復興院(仮称)の設置と官民人材の登用
 提案3.PFI法の改正による迅速・効率的な復興推進
 提案4.公共施設等運営権を活用した他自治体・民間企業による復興事業の実施
 提案5.地域の防災型多機能中核コミュニティ施設の建設、スケルトン・インフィル工
法の導入及び一般的行政財産制度・包括的社会資本整備交付金制度の創設
 提案6.国民の志を取り入れる資金調達方法の導入
  (詳しくは、http://www.pppportal.jp/article/13966855.htmlを参照)

 いずれも公民連携の手法をふまえた復興策であるが、たとえば、提案6は次のように図示される。

図 国民の志を取り入れる資金調達の仕組み


 これら民間の活力や資金の活用が提言されているが、政府、与野党の議論ではあまり聞かれない。被災自治体のインフラ整備に対して、補助を最大9割まで引き上げるという特別支援策が検討され、2011年度第1次補正予算案として国会に提出されるという(2011年4月19日日経夕刊)。なお補助金でカバーできない地方負担分についても、大半を地方交付税や特別交付金で賄い、復旧費用のほとんどを国が賄うことになる。
 復旧・復興に向けて、国債と増税を避けるためには、民間のノウハウと資金の活用が必須といえよう。

 

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