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第13回 公共施設マネジメントと公民連携

 前号で紹介した習志野市は、公共施設マネジメント白書の作成に続いて、有識者による公共施設再生計画検討専門協議会を設置し、公共施設再生に向けて様々な角度から検討を行い、提言をとりまとめた。
 公共施設再生のコンセプトは、公共施設老朽化対策を悲観的にとらえるのではなく、これまで先人が築いた資産を利用してきた市民が、少子高齢化や環境問題など時代の変化に対応した、よりよい資産を将来世代に引き継いで行くための事業として取り組み、さらには新しい公共事業として地域経済の活性化にも繋げていくというものである。第1には将来世代に負担を先送りしないことはもちろん、よりよい資産を残すという行財政の中長期的視点に立ち、将来のまちづくりを展望する姿勢を示している。第2に、地域経済の活性化も図るというねらいである。
 また、ここでいう再生とは、耐震改修、老朽化対策改修、長寿命化、環境負荷低減、建替えなど、市民サービスの確保のために必要な公共施設の整備を意味している。省エネ・地球温暖化対策も重要なテーマとなっている。
 更新費用としては、プラント系を除いた対象124施設を建て替え、大規模改修を実施した場合の事業費について、平成23(2011)~平成47(2035)年度の25年間にわたり試算すると、次のような結果となった。

  25年間の事業費総額:1,184億円 [年平均:47億4千万円]
    うち建替え事業費:1,013億円 [年平均:40億5千万円]
  うち大規模改修事業費: 171億円 [年平均: 6億8千万円]

  更新費用に充当可能な事業費:年平均21億円、25年間で525億円

 更新費用と財源の試算によれば、公共施設の建替え可能な割合は、事業費ベースで約52%ということがわかる。これでは老朽化した公共施設の約半分しか更新できず、抜本的な施策が求められる。そこで、専門協議会は次の10の提言を行っている。

 1.人口推計、財政状況に基づく公共施設保有総量の圧縮
 2.施設重視から機能優先への転換と多機能化・複合化の推進
 3.市民ニーズ、社会環境の変化を踏まえた総量圧縮に向けた優先順位の整理
 4.計画的な維持保全による長寿命化
 5.財政計画と連動した実現可能性の確保[インフラ・プラント系施設の捕捉]
 6.計画実現に向けた公民連携・市民協働の推進
 7.地域区分の検討
 8.モデル事業の実施
 9.財源確保策への提案
 10.市庁舎、小・中学校等の公共施設の災害対策本部及び避難所機能の強化

 これら提言は人口推計と財源見通しに基づき、施設そのものではなく機能を優先させ、更新単価の削減や資産の有効活用及び利用者負担の適正化などによって財源を確保することを前提に、実例として効果を見るモデル事業などの内容となっている。東日本大震災を契機に、災害対策も重要になっている。
 そして、特に、厳しい財政状況の中で、公共施設再生を具体化するための手法と位置付けられているのが、公民連携である。
具体的には建替えにおけるPFI の導入や指定管理による維持管理の長期包括委託などのほか、公有地の余剰地を定期借地権設定によって民間企業が開発しその賃料によって更新費用を賄うという方法もある。
 公民連携には公共サービス型、公共資産活用型、規制・誘導型の3つのタイプがあるが、公共施設マネジメントは特に公共資産活用型とも関係し、公民連携における昨今の大きなテーマとなっている一方、公民連携は公共施設マネジメントの効果的な手法と認められている。

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