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第16回 改正PFI法の概要(3)

 

 改正PFI法の目玉は公共施設等運営権の導入である。公共施設等運営権はコンセッションと呼ばれ、既に兵庫県加西市での検討状況を紹介した。

 

 公共施設等運営権の定義
 公共施設等運営権とは改正PFI法第2条第7項で、公共施設等運営事業を実施する権利とされる。
 同第2条第6項では、次のように示している。

 

  ①公的主体が所有権を有している施設であり、
  ②利用料金を徴収する施設について、
  ③運営等を行い、利用料金を自らの収入として収受する事業

 

 ①については、既存施設のみでなく、新設して公的主体に所有権を移転する場合も該当し、施設の敷地の所有権まで有する必要はないとしている。
 ②については、独立採算型であることが必要とされる。公共施設等運営権が導入された背景には、これまでのPFIが多くはサービス購入型であり(サービス購入型が270件・72%、混合型が89件・24%、独立採算型が16件・4%)、民間事業者が需要変動リスクを負う資金調達環境が整備されていないことがあげられている。
 ③については、施設を運営・維持管理することは含まれるが、建設は含まれず、施設を新設する場合には通常のPFI事業で民間事業者が建設を行った後に当該事業者に運営権を設定することが想定される。

 

 公共施設等運営権のメリット
 公共施設等運営権のメリットについて、内閣府民間資金等活用事業推進室の「PFI法改正法に関する説明会」資料では、次のように示されている。
 公的主体のメリットとしては、事業主体から対価を徴収することにより、施設収入の早期回収を実現し、資金収支及びマーケットリスクが公的主体から事業者に移転される。米国のシカゴスカイウエイのコンセッションでは、99年間の事業期間で約2,000億円の運営権売却金額となり、シカゴ市は整備費用の回収とともに、他のインフラ更新等の費用を得ることができた。
 事業者のメリットとしては、運営権を独立した財産権とすることで抵当権の設定等が可能となり資金調達が円滑化する、自由度の高い事業運営権が可能となる、運営権の取得に要した費用は減価償却が可能となる、としている。経営の自由度は事業者にとって採算性を高める重要な要素であって、シカゴスカイウエイでは、朝と夕刻のラッシュ時のレーンの変更や車軸と時間によって異なる料金設定などの工夫が見られる。
 金融機関・投資家のメリットとして、運営権への抵当権設定が可能となり金融機関の担保が安定化する、運営権が譲渡可能となり投資家の投資リスクが低下するとしている。
 施設利用者のメリットとして、事業者による自由度の高い運営が可能となり、利用者ニーズを反映した質の高い公共サービスが提供されるとしている。
 また、通常のPFIが事業契約に基づき施設運営を実施するのに対して、運営権制度は公的主体の運営権の設定(行政処分)に基づくとされる。
 なお、公共施設等運営権を物権とみなし、不動産に関する規定を準用し、運営権の第三者への譲渡が可能となっている(譲渡に際しては公的主体の許可が必要)。さらに、権利の対抗要件として登録制度が創設されている。

 

 公共サービス継続の担保
 公共サービスの継続を担保するため事業開始前の公共施設等運営権実施契約のほかに、事業開始後には公的主体は報告徴収、実地調査、業務改善等の指示など運営権者への指示(第10条の15)、運営権の取消、行使の停止命令が可能となっている(第10条の16)。
 公益上の理由による取消等の場合、運営権者を保護するため、公的主体は運営権者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない(第10条の17)。

 

 改正法では公共施設等運営権の実施に関する手続きも定められている。具体的な運用に関しては、取消に係る公益上やむを得ない必要の是非や補償の内容など実務的な課題も少なくない。この度のPFI法の改正は、公共施設等運営権の導入など公共サービスに民間の資金とノウハウを活用する上での法制度上の大きな前進ととらえられる一方、事業の円滑で活発な実施には、民間事業者の意欲と行政の取り組みが問われてくる。



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