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第8回 加西市のPPPへの取り組み(1)

 11月上旬に兵庫県の加西市を訪れた。経営戦略室の中村賢一氏に同市のPPPへの取り組みの状況の説明をいただき、中川暢三市長とも懇談した。
 加西市の人口は5万人弱、一般会計歳入が約192億円、平成21年度の財政力指数が0.623、
一般会計に水道・下水道・病院の企業会計と土地開発公社の借入金等の債務負担を合わせた実質債務合計が51,357百万円、実質公債費比率が18.2%となっており、大変厳しい財政状況となっている。
 同市は積極的に行財政改革に取り組み、正職員数を771人(平成17年度)から718人(平成22年4月1日)へ7%削減し、給与カット及び特殊勤務手当と調整手当等の廃止で年間総人件費を85億円から77億円に9%超削減し、平成16年度末から平成22年度末の5年間で実質債務残高を約158億円、21.6%削減している。
 行財政改革としては大きな成果が上げられていると評価できる。しかし、このような取り組みはいわばキャッシュフローベースのコスト削減であり、その効果には限界がある。行政のあり方そのもの、あるいは資産・債務に切り込んだバランスシート改革に踏み込まなければ、行政も財政もいずれ行き詰まってしまう。
 同市はそこで、このようなコスト削減に取り組む一方、さらに抜本的な改革に取り組むため、東洋大学に依頼し、同大は地域再生支援プログラムの一環として同市におけるPPPの導入可能性調査を行った。調査結果は2009年2月に公表されている。以下、同調査の要旨を紹介する。
 行政サービス全般では、人口千人当たり市の職員数は14.5人と、周辺自治体に比べ非常に多い
(小野市は11.0人)。
 平成19年度末の同市の負債総額は528億円(市民1人当たり107万円)であり、実質公債費比率は20.8%で非常に高くなっている。負債総額のうち下水道事業会計の負債が294億円(市民1人当たり59万円)と大きく占め、また、年間2.1億円の赤字を計上している。これは公共下水道の整備が速やかに進行したものの(整備率97%)、本来市民が行うべき各家庭への接続が遅れているためである(水洗化率73%)。先行したインフラ投資に見合う収入が得られない構造になっているわけである。
 他に大きな負債としては、病院事業会計の37億円(市民1人当たり7.5万円)があげられる。同会計は年間3.8億円の赤字も計上している。公立病院、特に地方における公立病院の経営は厳しく、主因は医師不足、医業収入の落ち込みなどで、近隣の大規模病院の建設や施設の老朽化など、経営環境はますます厳しくなることが予想される。
 一方、同市に対する通勤流出入は流入超過となっており、三洋電機など工場誘致の成功が背景にある。法人税の増収が見込まれるほか、住宅建設の投資効果や住民税の増収も期待できる。同市には多様な遊休地もある。このようなプラスの要因もふまえ、改革の方途を考える必要がある。
 次回は、東洋大の報告・提言書に基づき、PPPの手法と同市での導入可能性について、考察する。
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