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| 直訳すればインパクトのあるすごいネーミングだが、口あたりは意外とあっさり系で、映画『カクテル』にも出てきた飲み物。 |
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| 【セックスオンザビーチ】 Sex on the beach |
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サンディエゴ行きの夜行バスのチケット売り場が見当たらない、ターミナルの詰め所で待機していた、運転手の制服を着た四十半ばくらいの黒人に聞いてみた。
『向こうのドラッグストアの入口を右に……』その黒人運転手が指差す方向に視線を向けると、「listen to me!!」と真顔になって強い口調で言う、仕方なく運転手の顔をみて説明を眼で促す、『右に見える…・…』と、またついそちらを見てしまう。
「listen to me!!」言葉を切って、また真顔で言う、瞳の白い部分が際立つので、余計にその顔が怒っているように見える。
「sorry」ともう一度聞く、何とか説明だけを頭の中に叩き込んで、チケットを買いに走った。
何だってこんなに離れた場所でチケットを売っているんだ、と独りごちながらも無事に乗り場まで戻ると、今度は別の観光客らしき男女がチケット売り場への行き方を聞いていた。
やはりその会話の中で「listen to me!!」と、またあの真顔の怒った口調でやっている。困惑しながらも説明を聞き終えた二人は、聞いた説明を自分の口で繰り返しながらチケットを買いに行った。
そんなやり取りが、更にもう一組あった、その度に彼は「listen to me!」と指差す方を見る客に叱っている。
その様子を黙って見守っていたが、説明し終えて一人になった彼が『どいつもこいつも、何だってオレの説明が聞けないんだ!人の話は真剣に聞くものだろう!』と怒り出した。
『もうやってられないぜ!チケットなんか買わなきゃいいんだ、もう今日は終わりだ!』そういって近くのスタンドバーに入って行った。
待ち時間もあり、何となく彼に興味が湧いてきてたのでスタンドバーに入ると、ビールを飲んでいたさっきの黒人運転手が俺の姿を見つけて『やあ、チケットは買えたかい?』とフレンドリーな口調で話し掛けてきた。
『ありがとう、これで無事帰れるよ』そう言って、カウンターまで行き、彼のビールが残り少ないのを確認し、カクテルを2つ注文した。
『さっきのお礼だ、あんまり怒って酒を飲むとカラダに良くないぜ、これでクールダウンしなよ sex on the beach だ』すでに怒りはおさまっているのは明らかで、というよりさっきも心底怒ってはいないようだった。
『サンキュー、ブラザーへえ、sex on the beachか、こいつはいいや』ハッハァーと彼は声を出して笑い、豪快に半分を飲み干した。
『オレの勤務はとっくに終わってるさ、週末は観光客が多いだろうからって、次のバスが出るまでチケット売り場を聞きに来た客に案内してやってくれって所長に頼まれたんだ』と言った。
『なるほど、サービス残業ってわけか、でもあそこは分かりづらいよ、誰だって指さした方を見ないと判らないぜ』と今度は視線をそらさずに話し掛けた。
『そうだな、よくわかったよ、でも小さい頃にお袋によく言われてたんだ、話をする人の目を見なさいって』
アフリカン−アメリカン民族特有の、躾をあの歳まで忠実に守る彼の実直さを表すエピソードだった。
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written by Ipaken |
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