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2006年6月 | 2006年7月2006年8月2006年9月2006年10月2006年11月2006年12月

あじさいを鑑賞するため、奈良県は大和郡山・矢田寺へ。あじさい寺と呼ばれるだけあって、境内約8千本と言われるあじさいが、色とりどりに咲き誇り、まるであじさいに埋もれてしまいそう。
幻想的な寺域を後に、バスで帰路に向かう。途中のバス停で下車して店に入る。
目指すは江戸時代の「大和小泉平素麺」を復刻した「石州めん」である。

江戸時代と申して連想するのは元禄文化・化政文化か。いずれも町人庶民の文化。
少し猥雑でダイナミックな生を謳う文化が、江戸時代についての私達のイメージだが、元禄文化を遡ること30年。
関西では茶道を中心に、天皇と公家と大名たちの勇壮で絢爛豪華な文化が花開いていた。寛文文化である。

元は茶席で振舞われる点心として武人にして稀代の茶人・片桐石州が考えた平素麺。
今の農水省の基準ではそうめんと食品表示できない、太い平べったい麺である。
寛文元年(1661年)に作成された平素麺は、油を使わずに延ばす製法を採る不入油素麺。
寛文5年(1665年)に生み出された、秋田は稲庭うどん・稲庭そうめんと製法に関しては瓜二つだとも言われていて謎に拍車をかける。

四百年の星霜を経て、三輪素麺の巨匠によって再現された石州めん。
吉野本葛に三輪そうめんの技術と、大和の名産をふんだんに使い、贅沢に再現された一品。
手にとって感じる麺の重み、細さを競う素麺業界に背を向けた、麺のダイナミックな太さからは、戦国の遺風冷めやらぬ武人の気迫が伝わってきそう。
附属のつゆは、なんと鮎で採ったダシでできている。私はこれほど美味いそうめんつゆを見たことがない。
甘辛な独特の風味を大事に、ネギを少し多めに入れ、冷やし素麺にして食べる。
お茶は渋い抹茶がいい。猫舌の私には少し辛いくらいの熱さがいい。

食べ終わった後、思う。もしかして私はこの素麺の本当の美味さを知らないのではなかろうか。
やはり茶席で頂くものではないのだろうか。茶は不調法ゆえ、平素麺発祥の地、慈光院の前を素通りする不覚を取ったが、いつの日か、最低限の茶席の礼儀を身につけて、平素麺誕生の寺でお茶とこの「石州めん」をいただきたい。
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