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雨が降ったら和服を着るのが億劫になる。大して高い着物を着ている訳でも、特段外出する訳でもないのだが、何かの拍子に濡れたら困ると、なぜか自分に言い聞かせて、今日は珍しくTシャツにジーンズ、年齢相応の格好をしている。
昼飯に炒飯などを食べ、ヘンデルの「水上の音楽」を聞きながら、子どもの頃よく読んだ「ロビンソー=クルーソー」の本を開いてみる。少し大きめの活字と想像力を掻き立てる挿絵が、童心に帰らせてくれる。時間が14時をまわる頃から「3時のおやつ」が欲しくなってきた。私はどこまで童心に帰るつもりなんだろうか。
冷蔵庫にいちごがある。季節外れのいちごである。いちごが好きな私のために家人が入手してくれた業務用のいちご。そのまま食べても春のような美味は期待できない。
普通ならジャムかジュースにしようと考えるところだろうが、私はそこで「そうめん」を思い出す。そう、あの噂のいちごそうめんを、だ。
いちごそうめんの封を開けると、甘いいちごの香りが漂う。麺を湯がくと甘ったるい香が台所を支配する。一体、私が作ろうとしているのは果たして何なのか。
どう考えてもそうめんには思えないこの一品、フォークと洋皿を取り出し、写真のように盛り付けをする。さぁ完成だ。
そうめんをクルクルと、スパゲッティを食べるようにフォークに巻きつけて食べる。いちごそうめんそのものにはそれほどの甘味はない。赤ワインのほのかな酸味が、そうめんの心地よい薬味になっていて利いている。
盛り付けられたいちごをフォークで刺して食べると、デザート感もひとしお。マスカルポーネのチーズ特有の心地よいしつこさが、麺に絡みつく。
もう、これは素麺を使った新たな洋菓子かも知れない。そうめん料理ではないことだけは確かだ。とりあえず贅沢な気分に浸りながら、一食分はゆうにあろう、このデザートを食べ終えた。
CDをヘンデルからモーツァルトに替え、レモンティーを入れる。紅茶の独特の香りが、いちごの甘ったるい蒸気で支配された空間を香ばしいものに変えてくれる。
異空間から我に帰ったように、私はロビンソンクルーソーを本棚の奥に片付けると、パソコンのスイッチをつけた。さて、紅茶をすすりながらメールチェックでもしようか。時間が止まったような休日の午後を、私は満腹感に浸りながら過ごす。
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