そんな訳で新しい大阪の味としてヒットした「たこ焼き」ですが、間もなく太平洋戦争が起こります。大阪は数度の大空襲のために壊滅状態となりました。そして終戦。焼け野原となった大阪に、次は食糧難が襲って来ました。
配給で手に入る貴重な食料のメリケン粉をどう大事に食べるか。見直されたのがあの「たこ焼き」と「一銭洋食」でした。たこ焼きにせよ一銭洋食にせよ、生地を作る時に水を多目に加えれば、少量のメリケン粉でも腹の足しになる程度は焼けるのです。これぞ正に「水増し」と言うべきでしょう。たこ焼きの「表面カリカリ中トロリ」と言われる独特の食感の秘密は、案外こんなところがルーツかも知れません。
さて、元祖たこ焼きは生地に味つけし、表面に何も塗らずに手で直に触って食べるものです。一方の一銭洋食は具材を多く入れて表面にソースを塗って食べるものです。何せ食糧難の材料不足。誰かがたこ焼きの鉄板でタコの入った一銭洋食を作ったら…。表面にソースを塗ったたこ焼きの誕生の瞬間です。
少し食糧事情が落ち着いて来ると、ただの一銭洋食では商売が厳しくなってきました。主食として物足りないのです。やはり駄菓子が非常食として脚光を浴びた一夜の夢か? そこで料理人たちは、一銭洋食のソースに独特のトロみを加え、いろんな具材を挟む工夫を凝らしたのです!。挟む食材は多彩を極めました。イカでもブタでも牛でも麺でも、具材は客のお好み次第。「お好み焼き」誕生の瞬間です。
原爆で壊滅的打撃を受けた広島でも、大阪と同じようなプロセスで広島風お好み焼きが誕生しています。大空襲にあった東京ではもんじゃ焼き人気が復活します。
そして、一部地域ではその美味と手軽さから、輝かしい主食の地位を取り戻すことになるのです。
たこ焼きに話を戻しましょう。
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