富士登山
現在使用されている主な登山道には、静岡県側の「富士宮ルート」・「須走ルート」・「御殿場ルート」、山梨県側の「吉田ルート」の4ルートがあるが、観光が主産業であり富士山観光開発を積極的に行っている吉田ルートの登山者が最も多い。
一般的な富士登山の期間は、山開きの7月1日から8月下旬までである。この期間はほぼ全ての山小屋が営業しているため利便性が高く、登山客が集中する。しかし山開きはしても、残雪の多い年は7月中旬まで登山道に雪が残ることもあり、ルートによってはその頃まで通行止めとなっていことがある。
自動車等でたどりつける主要な登山口の標高が5合目で1400mから2400mとすでに山頂までの半分程度達しており、体力や休養、出発時間、気象などの好条件に恵まれれば日帰り登山も不可能ではないが、途中で天候の急変、体調不良、小さな事故などのトラブルに逢って予定通りにいかない可能性が高い。持久力がなかったり高山病になりやすかったりすると時間をかけても登り続ける事ができず、途中で引き返す事も多い。毎年多数の遭難が発生しており、毎年のように死者がでている。例えば、2011年は7月1日の開山から8月18日までの約1ヵ月半の間に34件(34人)の遭難があった。ここ数年増加傾向にあり、2005年の17人から3倍以上になった。
富士登山道
吉田ルート | 須走ルート | 御殿場ルート | 富士宮ルート | |
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登山口の標高 | 2,300メートル | 2,000メートル | 1,450メートル | 2,400メートル |
登山道と下山道 | 登山道と下山道は完全に別 本八合目~山頂の区間は登山道・下山道ともに須走ルートと共用 |
登山道と下山道は別(一部区間では同じ) 本八合目~山頂の区間は登山道・下山道ともに吉田ルートと共用 |
登山道と下山道は別(七合目より上では同じ) | 登山道と下山道は全区間で同じ |
登山道の傾斜・地形 | 六合目まではほぼ平坦 六合目から七合目はやや平坦なジグザグ道 七合目以上はやや岩場 |
七合目付近まで樹林帯内で比較的緩やか 八合目以上は岩場 |
八合目付近まで緩やかな火山砂利の道 | 全体にやや岩場が多い |
山小屋の 設置状況 |
登山道には山小屋が多い 下山道にはなし |
合目ごとに山小屋あり | 全体に少ない 大石茶屋(新五合目付近)から七合目まで山小屋なし |
合目ごとに山小屋あり |
アクセス性 |
河口湖駅、富士山駅から登山バスの本数も多い(富士スバルライン経由) 東京や横浜方面からのバスもあり |
御殿場駅から登山バス(ふじあざみライン経由) | 御殿場駅から登山バス(一般道経由) | 御殿場駅、新富士駅、三島駅から登山バス(富士山スカイライン経由) |
マイカー規制 | あり 期間中は山梨県立富士北麓駐車場からシャトルバス |
あり 期間中は須走多目的広場臨時駐車場からシャトルバス |
なし | あり 期間中や水ヶ塚公園駐車場からシャトルバス |
登山口の利便性 | 売店5軒 公衆トイレ 登山情報提供施設(山梨富士五合目総合管理センター、六合目富士山安全指導センター) |
売店2軒 公衆トイレ 登山情報提供施設(観光案内所) |
売店1軒 公衆トイレ 登山情報提供施設(臨時案内所) |
売店1軒 公衆トイレ 登山情報提供施設(富士山総合指導センター) |
登山道の混雑度 | 混雑する (本八合目以上は須走ルートと合流しさらに混雑) |
一部混雑 (本八合目以上は吉田ルートと合流しさらに混雑) |
混雑しない | 混雑する (山頂付近は渋滞することがある) |
登山者数 (平成24年度) |
189,711人 | 35,577人 | 15,462人 | 77,755人 |
救護・救助体制 | 七合目と八合目に救護所 | 救護所なし | 救護所なし | 八合目に救護所(富士山衛生センター) |
登山道からのご来光 | 八合目以上で見える | 樹林帯を抜けるとどこからでも見える | 標高の高い位置から見える | 登山道上からは見えない |
富士宮ルート
富士宮口
富士山の5つの登山口のなかで富士宮口は、標高3,766メートルの剣ヶ峰まで最短距離でたどり着くことができ、天候に恵まれれば、宝永山や南アルプス、伊豆半島や駿河湾を一望しながら登山することができます。
アクセス
夏山登山シーズンの7月~8月にマイカー規制が実施されます。
規制中は、車で五合目まで行くことができませんので、必ずマイカー規制の日程を確認しましょう。
富士山マイカー規制
<バス>
JR東海道新幹線新富士駅~登山バス(富士急静岡バス)約2時間15分
<クルマ>
東名高速道路富士IC~西富士有料道路~国道139号線~富士山スカイライン 約60分 約44キロメートル
東名高速道路御殿場IC~富士山スカイライン 約60分
山室情報
山室の開設期間は、各山室により異なります。ご注意ください。
天候
富士山の天候は急変しやすいので、天気予報に注意してください。富士山では、100メートル上がるごとに約0.6度気温が下がります。山頂は日中でも平均気温は5度、明け方には0度以下になることもあります。
富士山富士宮口五合目駐車場(標高2400メートル)
500台分の駐車スペースはあるものの、夏山登山シーズンは、駐車場が満車となり、五合目下まで駐車渋滞が続くことがあります。
できるだけ公共交通機関をご利用ください。
富士山スカイライン
富士山スカイライン
富士宮口五合目駐車場
五合目レストハウス
富士山富士宮五合目(標高2400メートル)から六合目(約20分)
五合目でまず準備運動。体を標高に慣らすためにも必ず1時間は、休憩をとりましょう。高山病予防にもなります。
富士山総合指導センター(TEL 0544-22-2239)は、7月1日から9月2日まで五合目に解説します。事故防止と登山案内、観光案内や臨時派出所ともなります。
山頂までの距離は、4,309メートル(富士土木事務所調べ)、五合目から六合目までは、まっすぐな道が続きます。
登山口入口
富士山総合指導センター
五合目公衆トイレ
六合目山小屋周辺
六合目(標高2500メートル)から新七合目(約60分)
宝永遊歩道へ行くルートを右手に見ながら急坂を登ります。ここからが本番!一歩一歩、ゆっくり着実に!
六合目から山頂を望む
七合目山小屋
新七合目(標高2780メートル)から元祖七合目(約50分)
相変わらず続く急な坂。宝永火口を右手に見ながら登ります。10歩進んで、10秒休憩。眼下には駿河湾がまるで地図のように見ることができます。
元祖七合目
駿河湾を望む
元祖七合目(標高3010メートル)から八合目(約40分)
八合目はすぐ近くに見えますが、意外に大変!ここまでくると、空気が薄く、体調を崩す方もいます。八合目には7月27日から8月20日までの25日間、富士山衛生センターが開設され、お医者さんが常駐しています。お気軽にお立ち寄りください。
富士山衛生センター
八合目山小屋
八合目(標高3250メートル)から九合目(約30分)
下山する方からの励ましの声!これが結構うれしいんだよな!
九合目山小屋
九合目(標高3460メートル)から九合五勺(約30分)
マイペース、マイペース。無理は禁物。
九合五勺付近
九合五勺(標高3590メートル)から頂上(約30分)
さあ、もう一歩。鳥居をくぐれば苦労なんて一気に吹き飛びます。
浅間大社奥宮
山頂郵便局
山頂鳥居
山頂から見た登山風景
頂上(標高3776メートル)
日本一高いところまで来た達成感に満ち溢れます。体力に余裕があればお鉢巡りを!(1周約75分)こんな素晴らしい景色が見ることができます。
馬の背
河口周辺
剣が峰
御来光
夏は朝4時30分頃、ご来光を拝むことができます。
御来光1
御来光2
富士山頂の気温は、夏でも5度位。準備は万全な状態で…また、余裕をもって無理をせずマイペースでお願いします。
登山時の注意点
備えあれば憂いなし 準備はしっかり行うこと!
富士山などの観光登山を行える比較的高度の高い山は、山頂に近づくにつれて気温がぐっと下がります。また、登山に際しては、変わりやすい山の天気に対応できる備えが必要です。しっかりと準備して無理なく登山を楽しみましょう。

服装
シャツ:長袖のもの(日焼け防止と防寒)
ズボン:長ズボン(防寒とけが防止)
靴:底がしっかりしたくるぶしまで固定できるもの
靴下:なるべく厚手のもの(衝撃の吸収)
帽子:紫外線対策(サングラスもあるとよい)
手袋:岩場の移動時・防寒用(軍手可)
着替え:突然の雨や防寒対策に
腕時計
リュックサックに入れておくもの
水
ライト
チョコレートや飴、ゼリー状の栄養補給ドリンク
着替え
タオル
トイレットペーパー
ゴミ袋・雨合羽
ホイッスル(遭難時用)
※タオルやトイレットペーパーなど濡れやすいものは、あらかじめビニール袋に入れておく。
※昼間の登山でも、ライトは忘れずに持つ。